ツル割れ林檎の秘密
りんごのツル元が割れていて、見た目が少し落ちるツル割れ林檎・・。
しかし、このツル割れ林檎がとてもおいしい!!!
そこで、ツル割れ林檎の「おいしさの秘密」「中身は大丈夫」「ツル割れのできる要因」をご案内いたします。

おいしさの秘密
「ツル割れ林檎」とは、リンゴのツル元に亀裂の入っているリンゴのことです。
このツル割れ林檎の特徴として、他の林檎には無いおいしさの秘密があります。それは・・・
○りんごの実が、シッカリと熟した証拠。
りんご果実からエチレンガスも出てさらに追熟する。
○成熟期に達した証拠。
収穫するまでにツル割れが発生し、遅くなればなるほど増加する。
○りんごの実が成長している証拠。
りんごはその実についた「傷」や「ツル割れ」を治療する働きがあるので、多くの栄養分が果実へ運ばれるため美味しい。
以上から、ツル割れ林檎は蜜入り完熟りんごが多く、おいしいリンゴの目印と言われています。
また、ツル割れ林檎を好んで食している方は、りんごのおいしさを知った「リンゴ通」と言えます。
★★★ツル割れ大・小の糖度計測★★★
同じ木から収穫されたツル割れ林檎と、通常のリンゴを計り比べてみました。
若干ですが、ツル割れリンゴのほうが高いですね。
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ツル割れの大きいもの 糖度 15.7度 | ツル割れの小さいもの 糖度 13.9度 | 通常のりんご 糖度 13.3度 |
中身は大丈夫?
ツル割れ林檎の割れている部分が黒くなっているのは...
「傷みはじめているのでは...?」「腐っているのでは...?」と思っている方も多いと思います。
そこで、「ツル割れ林檎の中身は大丈夫?」の疑問についてお答えします。

★★★検証★★★
早速、疑問の「ツル割れ林檎」を切ってみました(下写真・参照)
@の部分 ツル元の割れ部分の果肉が若干酸化して赤くなっているのが見えます。
Aの部分 ツルの付け根部分が、赤黒く酸化しています。
しかし、その部分を除くと通常のリンゴとあまり変わりありません。
また、蜜の入りも多いように見えます。

★★★ツル割れの3つのタイプ★★★
リンゴのツル割れには、次の3つのタイプがあります。
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@内部裂果 表面の見た目にはわからない果皮の下の果肉にヒビが発生するタイプ。ナイフで割って初めてわかります。 | A外部裂果(内部裂果も伴う) 表面でツル元が割れているのがすぐわかるタイプ。内部も割れているのが見えます。 | B外部裂果(果皮のみ) 極めて少ないタイプですが、果皮のみに亀裂が入り果肉まで大きく割れていないタイプ。 |
★★★結論★★★
どのツル割れを食べ比べても十分な甘さとジューシーさは全然変わりません。
ツル元の部分を綺麗に取り除けば、とっても美味しい蜜入り完熟リンゴです!!(下写真)

※リンゴの中身については、ツル割れの程度や保管期間によって左右されます。
お求めの際はツル割れの大きさや深さなどを確認してください。
ツル割れのできる要因
〜農業は自然との闘い〜
リンゴ生産者の方々は、良質なリンゴを皆様にお届けするために、りんごの枝を切る剪定から始まり、交配、摘花、摘果、袋かけ、除袋、葉摘み、玉まわしなど、収穫の時期まで様々な作業を行います。



しかし、いくら気をつけても防ぎきれないのが自然の影響です。台風、雹、霜などの自然災害のほかに、雨による影響もあります。その雨がツル割れの発生要因に関与していると考えられています。



〜主な自然現象の要因として〜
近年の自然環境、気温状況などから以下の要因が考えられています。
- リンゴの開花期の気温が高く、開花が早まった年に多い。
- 果実肥大時期の降雨が多い年(特に夏場)に多い。
以上の2点から、地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所では、平成20年産の「ふじ」のツル割れ発生要因について、次のように報告しています。
「平成20年はリンゴの開花が早まったことで果実生育期間が延長し、果実が肥大しやすい素質を持った上、8月中旬、下旬のまとまった降雨が果実肥大を促し、内部裂果の発生が増加した。その後、内部裂果の亀裂が拡大して外部裂果へと移行し、外部裂果が多発した。このように、開花が早く、果実肥大期(特に夏場)の降雨量が多い年は、ツル割れの発生が多い。」
以上の報告を下図のグラフにて示しますと、平成20年8月の中旬、下旬の降水量の増加と共に、りんごの果実肥大量が平年より大きく成長がしていることが分かります。その影響により、リンゴ内部裂果の発生が増加しています。

以上の試験結果を踏まえ、現場に携わる生産者、科学的根拠を見い出す研究者により、ツル割れ果発生の原因を特定し、りんご生産技術の推進に努力しています。
そして、なによりも、「安全」で「安心」の「一年に一個のリンゴ」を皆様の食卓に届けることが出来るように、ここ鬼沢のフジタ林檎園も日々頑張っています。
※ツル割れ林檎の文章、画像、などの引用元は「リンゴ大学」さんより拝借しています。